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Interview

経営者紹介

【関西イキザマ図鑑】#27 誠実な焙煎とアート空間 | 螺旋珈琲 宮本ケイトさん

氏名

事業名

設立

経歴

私は宮本ケイトと申します。高校時代にドトールコーヒーでアルバイトをしたことがきっかけで、コーヒーの奥深さに魅了されました。それ以来、飲食の現場で経験を重ねる中で「いつか自分の店を持ちたい」という夢を抱くようになり、その思いを叶えるためにカフェ開業専門学校に入校しました。焙煎コースではコーヒー豆の焙煎技術や経営について学び、自分の理想とする店づくりへの土台を築きました。そして長年の夢を実現し、2025年6月15日に「螺旋珈琲」をオープンすることができました。私自身アートに強い関心を持っており、美術館に足を運んだり、陶芸教室に通ったり、日々の散歩を楽しんだりすることが趣味です。そうした日常の体験や感覚が、店舗のデザインや空間づくりにも影響を与えています。SNSでは、インスタグラムで店舗の雰囲気やコーヒーの情報を発信し、スレッズでは一緒に暮らす猫の姿を投稿しています。猫の存在はフォロワーの方との距離を自然に縮めてくれ、コーヒーを超えて人とのつながりを感じさせてくれる存在でもあります。お客様には、コーヒーの味わいだけでなく、店全体の空気や時間を含めて楽しんでいただけるよう、心を込めて日々取り組んでいます。

事業内容

「螺旋珈琲」では、誠実な焙煎を第一に掲げ、日々丁寧にコーヒーを提供しています。私自身、焙煎には強いこだわりを持っており、毎回の焙煎を記録し続けることで一杯ごとの質を高めています。また、情報を詰め込みすぎないことも意識しております。これは日本の「余白の美学」からインスピレーションを受けたもので、お客様に先入観を持たずに味わっていただけるよう工夫しています。さらに、店名でもある「螺旋」というモチーフにちなみ、DNAの螺旋構造をイメージしたキーホルダーを制作・販売しており、豆の販売とあわせて店の特色を表現しています。加えて、カフェとしての営業にとどまらず、店舗2階を美術館スペースとして貸し出し、アートとコーヒーを掛け合わせた活動も行っています。お客様には一杯のコーヒーを楽しむだけでなく、空間や作品を通して新しい体験を共有していただける場を目指しています。

創業きっかけ

高校時代に始めたドトールでのアルバイト経験が、私にとっての原点です。そのとき「自分もいつかこんな空間をつくりたい」と強く思うようになりました。その後、飲食店での勤務経験を重ねるなかでその思いはますます深まり、専門的に学ぶために「カフェズライフ」で経営や焙煎を学びました。開業準備を進める過程では、多くの壁に直面しました。特に物件は築60年の建物で、配管やガスの工事に大変苦労しました。しかし、それでも実現したいという思いが勝り、関わってくれる人たちが自分以上に前向きに取り組んでくれる姿にも励まされました。そして私自身も「自分の焙煎でコーヒーを届けたい」「誠実に一杯一杯を提供したい」という信念を支えに、挑戦を続けてきました。結果として、開業の延期や追加工事を経ながらも、現在は日々営業に励んでおります。

理念

「螺旋珈琲」のコンセプトは「誠実な焙煎」「余白の創出」「感覚の共有」です。誠実な焙煎とは、一切の妥協をせず記録を積み重ね、味を磨き続けること。余白の創出は、日本的な美学を意識し、情報を削ぎ落とすことで、お客様に自由に想像し、感じてもらう余地を残すこと。そして感覚の共有は、私が焙煎で大切にしていることや空間づくりを通じて、お客様と体験を分かち合うことを意味しています。過度な説明よりも、まず一口を味わっていただきたいと思っています。店名「螺旋珈琲」は、元々の物件がネジ屋であったことや、私自身が美術的に螺旋というモチーフを好んでいることから名付けました。コーヒーとアートをつなぐ空間として、独自の存在を築いていきたいと考えています。

今後展望

今後は、店舗2階のスペースを活用し、美術展や個展を数多く開催することを大きな目標としています。初心者からプロまで、誰もが自由に表現できる場を提供し、常に誰かの作品が展示されている空間に育てたいと考えています。そのため現在も、個展を開きたい方を広く募集しており、カフェを訪れる人々と作品が出会うきっかけをつくっていきたいと思っています。猫好きの方にも気軽に立ち寄っていただき、コーヒーとアートと猫談義を楽しめるような居心地の良い場所にしていきたいと考えています。同時に、コーヒー焙煎の分野でも実績を積むため、来年・再来年にはSCAJ主催のロースター大会やハンドドリップの大会に挑戦し、技術をさらに磨いていきたいと考えています。
そして将来的には、店舗展開をせず、生涯にわたり一人で自分らしくお店を続けていくことが私の夢です。コーヒーを通じて人と人がつながり、文化と温もりが共に広がっていく場所を育てていきたいと思います。

コメント

宮本さんのお話を伺って、特に印象的だったのは「誠実な焙煎」と「余白の美学」という言葉。味を追求するストイックさと同時に、過度な説明をせず、お客様の感覚を尊重する姿勢は、日本的でありながら新しい発想を感じさせてくれます。また、コーヒーに留まらず、猫やアート、美術展との融合を通して「体験を共有する場」をつくっている点もユニークで、訪れる人にとって多面的な魅力が広がるお店だと感じました。
「店舗展開ではなく、一生自分らしく一店舗を続けたい」という言葉にも心を打たれます。効率や拡大を追うのではなく、誠実に一杯を届け続ける覚悟こそ、螺旋のように続いていく宮本さんの生き方を象徴しているように思えました。コーヒーとアートと人の温もりが重なり合う「螺旋珈琲」、きっと訪れるたびに新しい発見と安心感を与えてくれる場所になるはずです。

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