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経営者紹介

【関西イキザマ図鑑】#39 伝統と現代をつなぐリノベーション | 林誠建築設計所 林 誠さん

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経歴

私は東京・狛江で生まれ育ち、早稲田大学大学院・創造理工学研究科で建築を学びました。

ガウディの研究をきっかけにスペイン・バルセロナへ留学し、現地では既存建築を活かしたリノベーションの文化や、建築を通じて歴史や生活が息づいている街並みに強く惹かれました。
留学後は現地の建築事務所で複数のリノベーションのプロジェクトに携わり、歴史を積み重ねる設計方法に魅了されました。
コロナ禍を契機に京都に移り、京都の建築事務所でも伝統的な建物の再生に携わることができました。

現在は京都市北区紫野に建築事務所を構え、住宅や店舗のリノベーションを中心に活動しています。また、並行して大学で非常勤講師も務め、教育活動にも関わっています。京都に移った理由は、リノベーション案件が多く、日本の建築文化を学び直し、実践できる場として最適だと考えたからです。こうして国内外での経験を踏まえ、私は伝統と現代をつなぐ建築をテーマに活動を続けています。

事業内容

私の事務所では、住宅や店舗のリノベーションを中心に設計業務を行っています。
古民家の再生や自然素材を使った改修が多く、バルセロナと京都で学んだリノベーションの哲学と経験を活かしながら活動しています。
既存の建物をよく観察し、アイデアを一つずつ丁寧に積み重ねることで、長く愛される空間を検討しています。工事の段階においても、信頼できる大工さんや工務店さんと共に丁寧に打ち合わせを重ねます。
効率やスピードを優先するのではなく、「じっくり話し合いながら良いものを仕上げたい」と考えるお客様に支えられています。設計のプロセスを大切にし、「確かさ」と「丁寧さ」を重視して、歴史と現代の“共存”を実現するための仕事をしています。

創業きっかけ

地縁のない京都で独立することは決して容易ではありませんでした。
お客様の獲得や信頼関係づくりには苦労もあります。また、東京やバルセロナとは異なる京都独自の建築文化や技術、素材の使い方、規則にも直面しました。
しかし、難しい条件や環境の違いが、新しいアイデアの種になっていると思います。

建築という分野には唯一の正解が存在せず、事務所のあり方や一緒に働く仲間によってデザインの答えは変わっていきます。
設計者にとって、そのようなデザインの源となる環境を耕していくことが重要であると感じ、徐々に独立を目指すようになりました。

独立後はお客様に選んでいただけるまで実績を一つずつ積み重ね、丁寧に仕上げた仕事が次のお客様へとつながる手応えを感じています。
京都という歴史ある街で、自分の理想と責任をもって建築に取り組める今、この挑戦を選んで良かったと心から思っています。

理念

私の建築に対する理念は、暮らしのなかで使われ続け、時代に合わせて育っていく建築をつくることです。
特殊な作品として完成させるのではなく、日々の営みに寄り添い、修繕や改修を重ねながら自然と姿を変えていく建築を目指しています。
素朴な工夫や身近な発想の積み重ねが、やがて普遍的な価値を生み出し、人々に受け継がれていく、そんな建築を実現していくことを理念としています。

今後展望

京都でリノベーションの設計をすると、伝統的な工法や技術が高額になってしまうという課題があります。
また、他の地域ではそもそも伝統的な技術がほとんど途絶えてしまっている場所もあります。
私は、できることならば、昔ながらの技術を継承するだけではなく、それが皆にとって使いやすいものであってほしいと考えています。

歴史や文化を大切にしながらも、あくまでも人々の暮らしに寄り添う建築を広め、より多くの人に手の届くリノベーションを実現することが、事業としての大きな展望です。
さらに、他の文化圏を訪れて人々の暮らしや文化に触れ、その本質について考える時間を持ちたいと考えています。
しっかりと仕事を続けながら世界を見てまわることが、次のアイデアや実践につながると信じています。

コメント

林さんのお話を伺って強く印象に残ったのは、「建築を特別な作品として完成させるのではなく、暮らしの中で使われ続ける存在にしたい」という理念です。バルセロナでのリノベーション文化の学びと、京都での伝統的な再生への取り組み、その両方を融合させた姿勢に、独自の世界観を感じました。

また、効率やスピードではなく「じっくり話し合いながら仕上げる」ことを大切にされている点も、人と空間を丁寧につなぐ設計者としての誠実さが表れていると思います。難しい課題にも真正面から向き合い、それを新しいアイデアに変えていく柔軟さは、林さんの建築が時代を超えて愛されていく理由のひとつだと感じました。

京都という歴史ある街で、伝統と現代を調和させながら「普遍的な価値」を形にしていく林さんの挑戦を、これからも追いかけていきたいと思います。

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